足の切断や失明にもなりかねない糖尿病を予防・改善する方法

今や日本では、4人に1人とも言われるほど多くなっている糖尿病患者とその予備軍。

日本は世界でも有数の糖尿病大国とされているにも関わらず、キチンと治療を受けているのは2人に1人。一度なったら一生付き合わなければならない病気だけに、正しい知識を身につけることが大切です。

そこで、このサイトでは、糖尿病と上手に付き合っていくための知識をまとめてあります。「そもそも、糖尿病ってどんな病気なの?」から始まり、糖尿病予備軍の方にも是非知ってほしい、糖尿病を予防する生活習慣や糖尿病で怖いとされる合併症のことなども分かりやすく解説していきます。


●このページの目次

1. そもそも、糖尿病ってどんな病気なの?

糖尿病とは、血液中のブドウ糖濃度が高い「高血糖」状態が長く続いている病気のこと。

今、世界中に糖尿病患者がいますが、「甘い尿が絶え間なく流れ出る」という意味で、他の国では糖尿病のことを“Diabetes Mellitus(ディアベテス メリートゥス)”と呼んでいます。

私たちが食事をすると、食べ物に含まれる糖質が消化されてブドウ糖になります。腸で吸収されたブドウ糖は、肝臓から血液中に送りだされ、やがて筋肉や脂肪細胞に取り込まれたり、エネルギーとして利用されたりします。その際、必要となるのが『インスリン』と呼ばれているホルモンです。

ところが、食べ過ぎたり甘い物を摂りすぎたりすると、インスリンの分泌が追いつかなかったり、分泌されたとしてもうまく働くことができなかったりして、血液中のブドウ糖(血糖)をコントロールして細胞に取り込むことができなくなり、血液中にブドウ糖があふれてしまいます。この状態が長く続くと糖尿病になってしまうわけです。

数字で見る糖尿病患者の実態

  • 820万人・・・糖尿病が強く疑われる人
  • 1,050万人・・・糖尿病の可能性が否定できない人
  • 237万人・・・実際に治療を受けている人
  • 3,000人・・・糖尿病性神経障害で足を切断する人の年間者数
  • 54%・・・足に何らかの自覚症状を感じている糖尿病患者数
  • 2人に1人・・・網膜症を併発する糖尿病患者数

2. 血糖値が高いと糖尿病と診断される理由

通常、食べた物が消化されると小腸の血管でブドウ糖として吸収され血糖値が上がります。

血糖値とは、血液中のブドウ糖の数値のことで、健康な人でも食事をすれば血糖値は上がり、インスリンの働きによって、血液中のブドウ糖は細胞に取り込まれ、食後2時間もすれば元の数値に下がります。

では、糖尿病と診断されるには、血糖値がどのくらいの数値を示すのでしょうか?
通常、空腹時は正常型なら血糖値は「80~100mg/dl」。高めでも「110mg/dl」の範囲内で、食後でも「120mg/dl」、高くても140mg/dlくらいまでしか血糖値は上がりません。

ところが、空腹時血糖値「126mg/dl」以上、食事を始めてから2時間後に測る“食後2時間血糖値”が「200mg/dl」以上となると、糖尿病と診断されてしまいます。

  • 正常な空腹時血糖値・・・80~110 mg/dl
  • 糖尿病患者の空腹時血糖値・・・126 mg/dl以上
  • 正常な食後2時間血糖値・・・120~140 mg/dl
  • 糖尿病患者の食後2時間血糖値・・・200 mg/dl以上

ただし、食後の血糖値が120mg/dl以上であれば油断はできません。糖尿病予備軍とみなされますので、生活習慣を改善する必要があります。

ちなみに、“mg/dl”は血糖値を表わす単位で、「ミリグラム、パー、デシリットル」と読み、1デシリットルあたりの血液に何ミリグラムの糖が含まれているかを表わしています。

3. 血糖値と同じく糖尿病と関係の深い「ヘモグロビン」とは?

病院で糖尿病かどうかを検査する場合、血糖値以外にも欠かせないのが「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」です。「ヘモグロビン」は皆さんもご存知のとおり、赤血球の成分のひとつで「血色素」とも呼ばれ、全身に酸素や二酸化炭素を運ぶ役割をしています。

では、糖尿病とヘモグロビンがどう関係しているのか?
血糖値が高い高血糖状態が続くと、ヘモグロビンは血管中の余分なブドウ糖と結びつきグリコヘモグロビンとなります。グリコヘモグロビンにはいくつか種類があり、糖尿病と関係が深いのがヘモグロビンA1cです。

血糖値が高いほどヘモグロビンA1c値も高くなることから、糖尿病を判断する検査項目となっているわけです。つまり、受診した日の血糖値が正常だとしても、ヘモグロビンA1c値が高ければ過去1~2カ月の血糖コントロールができていなかったことになります。

ちなみに、糖尿病かどうかを診断するには以下のような項目をチェックします

  1. 慢性高血糖の確認
  2. 症状
  3. 臨床所見
  4. 家族歴
  5. 体重歴 など

4. 「ヘモグロビンA1c」が高いと合併症を併発しやすいってホント?

ヘモグロビンとブドウ糖は、厄介なことに1度結びつくと120日間はグリコヘモグロビンの状態を保つという性質があります。ですので、過去1~2カ月の血糖値の平均を反映することから、糖尿病かどうかを診断するとともに、血糖コントロールの状態を知ることができるため、治療の際の効果を判定するのにも役立つ重要な数値です。

ただ、要注意なのはヘモグロビンA1c値が高いと、網膜症や神経障害、心筋梗塞などの合併症を併発する可能性が高くなるということ。合併症の怖さについては後ほどお伝えしますが、血糖値が正常範囲内の人のHbA1c値が「6.2%未満」であるのに対し、糖尿病が疑われるのが「6.5%以上」、合併症が進行しやすいのが「8.0%以上」となっています。

日本糖尿病学会では、合併症を予防するためのヘモグロビンA1c目標値を「7.0%未満」とし、血糖値は空腹時を「130mg/dl未満」、食後2時間値を「180mg/dl未満」と定めています。

ちなみに、ここまでで示したヘモグロビンA1c値は国際基準となる「NGSP値」です。以前から糖尿病だった方はご存知だと思いますが、これまでは「JDS値」という日本独自の表記でしたが、2012年4月から医療機関での表記がJDS値からNGSP値に変わり、翌年4月からは健康診断結果の表記も変更されました。

( JDS値 + 0.4 = NGSP値 )

ですので、従来はヘモグロビンA1c値が「6.1%以上」だと糖尿病型と診断されていたものが、NGSP値では「6.5%以上」となったわけです。

5. こんな症状を感じたら糖尿病かも?!

では、「糖尿病かな?」と思っている人にとって気になる症状についてお伝えしましょう。大きな特徴は以下の5つとなり、このような症状があれば糖尿病が疑われますので、早めに医療機関で検査を受けることをおすすめします。

  1. ノドが乾く
  2. おしっこの量が多くなる
  3. トイレに行く回数が増える
  4. 体重が減る
  5. だるい・疲れやすい

なお、(4)の「体重が減る」についてですが、糖尿病というと太っているというイメージがありますが、血糖コントロールがうまくできず体重が減るケースもあります。

本来なら食事から摂った糖質がエネルギーになりますが、このサイクルがうまくできないと、エネルギーにするために脂肪や筋肉のたんぱく質を分解してしまうから。これはとても危険な状態です。

6. 糖尿病には「Ⅰ型」と「Ⅱ型」がある

ところで、ご存知の方も多いと思いますが、糖尿病には大きく分けて「Ⅰ型」と「Ⅱ型」があります。

Ⅰ型の特徴

  • 膵臓がインスリンをほとんど作れない
  • 別名「インスリン依存型糖尿病」
  • 子供や若い人に発症するケースが多い
  • 痩せている人に発症するケースが多い
  • ケトアシドーシスは起こしやすい
  • 急に発症し急速に悪化する
  • インスリン注射が必要
  • 患者数の割合は糖尿病患者全体の5%
Ⅰ型の原因
  • 体質的なもの
  • ウィルスなどによるβ細胞が破壊
    ※β細胞とはインスリンを作り出す膵臓にある細胞

Ⅱ型の特徴

  • インスリンは作り出されるが分泌量が足りない
  • 作られたインスリンが機能しづらい
  • 別名「インスリン非依存型糖尿病」
  • 40歳を過ぎた中年以降に発症することが多い
  • 太っている人に発症するケースが多い
  • ケトアシドーシスはあまり起こさない
  • 発症も病状もゆっくり
  • 食事療法や運動療法が中心
  • ケースによって薬の服用やインスリンを注射することも
  • 患者数の割合は糖尿病患者全体の95%
Ⅱ型の原因
  • 食べ過ぎ、飲み過ぎ
  • 肥満
  • 運動不足
  • ストレス

Ⅱ型の場合、「ノドが乾く」「おしっこの量が多くなる」といった上記の症状に加え、以下のような症状が少しずつ表れるようになります。

  • 目がかすむ
  • 手足の感覚が鈍くなる
  • 手足の先がチクチクと刺すような痛みがある
  • 切り傷などが治りにくくなる
  • 肌が乾燥してカユクなる
  • 感染症にかかりやすくなる

7. ケトアシドーシスってなに?

インスリンが不足すると、ブドウ糖の代わりに脂肪がエネルギー源として利用されますが、このときにできる酸性物質が「ケトン体」。

ケトアサイドーシスとはケトン体が血中で増えることで、体内は酸性(アシドーシス)に傾き体の様々な機能が低下。重症になると、脱水や意識障害、昏睡状態にまで陥ってしまう非常に危険な状態です。

風邪やインフルエンザ、強いストレスを受けたときなどでもケトアシドーシスになることがあるため、糖尿病性のものは「糖尿病性ケトアシドーシス」と呼んでいます。

最近は、大容量のペットボトルでの清涼飲料水の飲み過ぎにより、糖尿病性ケトアシドーシスと同じ状態に陥ることもあり、「ペットボトル症候群」「清涼飲料水ケトアシドーシス」とも呼ばれています。

「ペットボトル症候群」とは、1990年代に大量の清涼飲料水を水代わりに飲んでいた高校生が意識障害を起こして病院に搬送されるケースが報告され、以降、10代から30代の若い人にも似た症状が多く見られるようになり、彼らがペットボトル飲料を好んで多く飲んでいたことからこの名前が付けられたものです。

引用元:ペットボトル症候群 急性糖尿病で昏睡状態に陥ることもある

8. 妊娠中は糖尿病になりやすいってホント?

もともと糖尿病だった女性が妊娠した場合には、「糖尿病合併妊娠」と呼んで区別されていますが、妊娠してから糖尿病に気づいたり、糖尿病とまでは言わなくても、通常より血糖が高い状態だったりすると「妊娠糖尿病」と診断されます。

診断基準

  • 空腹時血糖値・・・92mg/dl以上
  • 食後1時間血糖値・・・180mg/dl以上
  • 食後2時間血糖値・・・152mg/dl以上

75gOGTTにおいて上記基準を1つ以上みたしていれば妊娠糖尿病となります。ちなみに、OGTTとは「Oral glucose tolerance test」の略で、「ブドウ糖負荷試験」のこと。他の検査でグレーゾーンと診断された人が受ける試験です。

その検査方法は、朝食を抜いた空腹状態で75gのブドウ糖を飲み、血液を30分ごとに2時間採って血糖値を調べ、その移り変わりを見て基準値にひとつでも該当すれば「妊娠糖尿病」と診断されます。

9. 糖尿病による合併症とその症状

ところで、糖尿病が悪化すると合併症になる可能性が高いことをご存知でしょうか。

糖尿病で怖いのが『糖尿病性合併症』で、本来、糖尿病そのものはⅡ型であれば比較的ゆるやかに症状は進行しますが、合併症を併発すると急速に悪化します。

糖尿病による三大合併症と言われているのが、「網膜症」「腎症」「神経障害」になり、他にも動脈硬化性疾患や心筋梗塞、脳梗塞、四肢の壊疽(えそ)などがあります。部位ごとに発生しやすい合併症は以下のとおりです。こんなにたくさんあることに驚かれたのでないでしょうか。

合併症

  1. 脳・・・脳梗塞、動脈硬化
  2. 眼・・・網膜症、白内障、緑内障
  3. 呼吸器・・・感染症、肺炎、肺結核
  4. 心臓・・・動脈硬化、心筋梗塞
  5. 腎臓・・・腎症
  6. 皮膚・・・皮膚症、感染症
  7. 泌尿器・・・尿路感染症、膀胱炎、排尿障害、インポテンツ
  8. 神経・・・末梢神経障害

10. 最悪は足を切断する可能性もある合併症

「合併症の何が怖いの?」
それは、進行がとても早いということ。血糖コントロールがキチンとできていないと神経障害なら5年、腎症ならば5~10年で症状が現れます。

最悪のケースでは、網膜症の場合は失明、神経障害では足の切断ということにもなりかねません。事実、年間3,000人が糖尿病性合併症で足を切断しているというのですから、決して他人事ではありません。

日本糖尿病対策推進協議会が行った調査によれば、糖尿病患者の54%が何らかの自覚症状を感じていますし、58%の人は「赤く腫れる」「靴ずれができやすい」などの見た目の異常を感じています。ですので、糖尿病の治療をされている方は、こうした症状を決して軽く見ないで注意深く観察することが重要です。

11. 知覚神経と自律神経に影響する糖尿病性神経障害

糖尿病患者の3分の1が、何らかの神経障害に悩まされると言われていますが、糖尿病による神経障害は、脳や脊髄からなる中枢神経から枝分かれし、体中に張り巡らされている「末梢神経」に影響を与えます。

末梢神経の中でも糖尿病によって影響を受けるのは、痛さや冷たさを感じる「知覚神経」と内臓や発汗のコントロールなどをする「自律神経」です。

足の切断にいたるのは知覚神経による影響で、ケガをしても痛くないため放置していたり、ケガをしていたことに気づかなかったりすることもあります。その結果、気づいたときには手遅れで、足は壊死していて切断しか方法がない場合も稀ではありません。

12. 神経障害を感じたら注意すべき4つの日常生活

神経障害は三大合併症の中でも進行が早く、感覚がないことで悪化しやすいので、最悪のケースにならないためにも、日常生活の中でも以下のような点に注意を払ってください。

神経障害を感じたら注意すべき日常生活

  1. 化膿の恐れがあるため、ケガや火傷には十分注意すること
  2. 深爪すると化膿しやすいため、爪の手入れはヤスリで行うこと
  3. 水虫はキチンと治療し、通気性の良い靴を選び、足の清潔を心がけること
  4. 魚の目やタコは自分で削るとケガや化膿のもとになるため、医師にキチンと処理してもうらうこと

気がついたら足を切断・・・ということにならないためにも、やはり合併症の早期発見が重要です。足先がジンジン、チクチク、ビリビリとするようなら神経障害を起こしている可能性がありますので、早めに医師の診断を仰ぎましょう。

13. 自律神経

知覚神経障害が起こると、最悪、足の切断となると、自律神経に障害が起きた場合は、どのような影響を与えるのでしょうか?

自律神経という言葉はよく耳にしますが、心臓をはじめ胃や膀胱などの内臓、汗腺や唾液腺などの腺や血管などの働きをコントロールする重要な役目を果たしています。

食事をすると胃が活発に動き出して消化分解できるのも、自律神経のなせる業。ですので、自律神経がコントロール不能になると以下のような症状が現れます。

主な症状

  • 胃がもたれる
  • 汗をたくさんかいたり、逆にかかなくなったりする
  • 排尿障害やインポテンツ
  • 下痢や便秘
  • 立ちくらみ など

「それなら、知覚神経障害ほどひどくはなんないのね?」
一見、そう思われがちです。ところが、発汗や動悸といった症状が現れにくくなるということは、低血糖が起こっても気づきにくく、心筋梗塞が悪化する可能性もあるので要注意なのです。

14. 低血糖で意識障害を起こすことも・・・

ここで少し低血糖についてお話ししておきます。高血糖がよくないことはご承知のとおりですが、実は血糖値が低いのも問題です。

低血糖とは、血液中のブドウ糖が少なくなり、数値でいうと血糖値が60~70mg/dl以下の状態。通常、食事をしたりすることで70~120mg/dlの変動幅があるのですが、ダイエットなどで食事を抜いたり、お酒を飲んだり、薬の飲み過ぎた、インスリンの過剰投与などにより低血糖を招いてしまいます。

では、低血糖の怖さを見ていきましょう。下がった際の血糖値と症状を見比べていくと、その恐ろしさを実感できるのではないでしょうか。

低血糖の怖さ

  • 53mg/dl・・・手足のふるえ、発汗、動悸、吐き気、空腹感、不安感、体が熱く感じる
  • 48mg/dl・・・集中力の低下、めまい、眠気、疲労感、空腹感、脱力、ろれつが回らない
  • 意識障害を起こし、自分がどこにいて何をしているのか分からなくなる
  • 低血糖昏睡となり死に至るケースも

さらに低血糖が恐ろしいのは、1度でも強い低血糖状態を経験したり、合併症で神経障害があったりすると、いきなり意識障害を起こす可能性があること。

ですので、低血糖を起こさないためにも、お腹が空いたと感じたときにはアメを1つでも舐めておくだけでも違います。また、低血糖で起きる症状は人によって異なるため、1度経験したらその状態をよく覚えておくことも重要です。

15. 失明の可能性がある糖尿病性網膜症

先に網膜症になると失明の可能性があるとお伝えしましたが、網膜症になる確率は糖尿病患者の2人に1人。そして、現実に失明してしまった方の割合は約18%にもなります。

高血糖が続くことで網膜に栄養や酸素が行き渡らなくなります。すると、血液中にある余分な糖分がたまり、赤血球は砂糖漬け状態でドロドロとなり、血管の流れが悪くなります。その結果、詰まったり破れたりした血管を補うため、網膜上で新しい血管(新生血管)ができます。

ところが、新生血管はもろいため破れやすく、眼底出血を引き起こし状態はさらに悪化。ただ、怖いのは眼底出血を起こしているのに視力の低下が見られないため、通常の検査では発見しづらいのです。

16. 糖尿病で歯周病が悪化!?

35歳以上の約80%が歯周病だと言われるほど、日本は歯周病大国になっていますが、糖尿病患者だとその比率は95%にもなります。

でも、なぜ歯周病が悪化するのか?
それは高血糖状態が続くことで歯茎の血管が痛んでしまうから。歯周病菌は歯茎から血液に入り込みやすく、血管内に侵入した細菌は全身を巡ります。

抵抗力があれば細菌を死滅されられるものの、糖尿病患者は抵抗力も弱まっているため細菌に勝つことができず、万一死滅させたとしても、細菌の死骸が放つ内毒素が居すわりインスリンの働きを邪魔するため、症状がますます悪くなってしまうのです。

17. ヘモグロビンA1c値が高い状態を放置しておくとどうなるのか?

「合併症が怖いのは病気の進行が早いから」と何度もお伝えしていますが、ちなみに、高いヘモグロビンA1c(HbA1c)値で10年経過した場合の糖尿病合併症が発生する確率は以下のとおりです。

  • HbA1c値7% ⇒ 約20%
  • HbA1c値8% ⇒ 約40%
  • HbA1c値10% ⇒ 約60%

では、どんな状態だと受診が必要だと思いますか?
目安は以下のとおりです。これらに該当したら、合併症を予防するためにも医師の診断を仰ぎ、早めに治療を開始しましょう。

  1. HbA1c値7.4%以上の状態が6カ月以上続いている。
  2. 年齢が70歳未満。
  3. 直近6カ月、処方に変更がない。

18. 糖尿病になりやすい生活習慣とは?

それでは、ここからは具体的に糖尿病を予防・改善する方法についてお伝えしていきます。ここからは基本的にⅡ型糖尿病を対象となりますが、Ⅰ型糖尿病の方にも該当することは多いので参考にしてください。

まずは、糖尿病になりやすい、治りにくい生活習慣や体質について確認しておきましょう。糖尿病は別名「生活習慣病」と呼ばれるほど、日頃の生活態度が影響しますので、該当する項目が多いほど注意が必要です。

  1. 寝る前に食事をする、食べてすぐ寝ることが多い
  2. 早食い、ドカ食いをするタイプ
  3. 朝食は食べないことが多い
  4. 脂っこいものが好き
  5. 野菜や海藻類は好んで食べない
  6. ラーメンや丼物をよく食べる
  7. 食事の時間が不規則
  8. お酒は週に5日以上飲む
  9. 清涼飲料水やドリンク剤をよく飲む
  10. 体を動かすのが嫌い、運動はほとんどしない
  11. 近所へ買い物に行くのにも自転車か車を使う
  12. 甘い物が好き、おやつは必ず食べる
  13. ストレスが多い
  14. 寝る時間が遅い、いつも睡眠不足
  15. 40歳以上である
  16. 家族や親せきに糖尿病の人がいる

こうして見てみるとお分かりのように、糖尿病は生活習慣の中でもとくに食事との関わりが大きいのです。ですので、予防・改善のための要は食事だとも言えます。

19. 糖尿病を予防・改善する食生活のポイント

「食べ過ぎない」「栄養バランスを考える」を要に、以下の点に気をつけましょう!

野菜をたくさん食べること

食物繊維は肥満を予防しますので、食物繊維の豊富な野菜を積極的に食べること。目安は1日350g。そのうち120g以上は、ニンジンやブロッコリーなどの緑黄色野菜に。野菜おおよそ100gの目安を参考に上手に組み合わせてみましょう。

野菜100gの目安
  • ほうれん草・・・1/3束
  • 春菊・・・1/2束
  • オクラ・・・10~14本
  • ブロッコリー・・・大3房
  • ニンジン・・・中1/2本
  • かぼちゃ・・・中1/4の1/4
  • ニラ・・・1束
  • トマト・・・中2/3~1/2個
  • 大根・・・中厚さ3㎝
  • キャベツ・・・葉大2枚
  • ナス・・・中1個
  • キュウリ・・・中1本
  • 玉ねぎ・・・中1/2
  • 長芋・・・直径6㎝の5㎝
  • ジャガイモ・・・中1個
  • さつまいも・・・中1/3本

食事は規則正しく、よく噛んで食べること

体重を気にして食事を抜くと次の食事のときに血糖値が上がりやすくなりますので、食事は抜かず、できれば規則正しく食べるようにしましょう。

できれば、寝る3時間前までに食事を終え、夜食は控えること。どうしても小腹が空いたときには、ホットミルクや甘さ控えめのココアなどにしましょう。

また、早食いは肥満のもとなので、一口一口、よく噛んで食べることで満腹中枢を刺激しますし、インスリンの分泌を適切にコントロールすることになります。

甘い物や脂っこいものは食べ過ぎないこと

甘い物や脂っこいものは肥満のもと。どうしてもおやつがやめられないときは、ドライフルーツやヨーグルトなどにしたり、ガムやするめを噛んだりして空腹感を紛らわす方法もあります。

食べる順番や組み合わせに気をつけること

食べ過ぎ防止を防ぐためにも、まず野菜を先に食べてお腹を膨らませておきましょう。次におかず、最後にご飯やパンなどの炭水化物という順番で食べましょう。

また、納豆やチーズなど高タンパク質な食材や糖質の吸収を遅らせる役目をしてくれる酢の物などを組み合わせることで、血糖値の急上昇を抑えることができますので意識してみてください。

大皿盛りやながら食いはやめること

飲み会の時や日常生活でも家族が多いと大皿から食べることが多いのですが、ついつい食べ過ぎてしまいがち。ですので、はじめから自分の分を取り分けてしまいましょう。

また、テレビを見ながら本を読みながらといった「ながら食い」もついつい食べ過ぎてしまいますし、意識がテレビや本などに向いていますので、味わって食べることがないために「食べた」という満足感が得られませんのでやめましょう。

濃い味つけや調味料のかけすぎに注意すること

濃い味つけのおかずだと、ついついご飯をたくさん食べてしまいがち。ですので、素材の味を生かし、出汁を利かせて薄味を心がけましょう。

また、カレーにソースをかけたり、味のついているお肉にさらにマヨネーズをかけたりと、食事の際にマヨネーズやソースなどの調味料をプラスしたり、サラダのドレッシングのかけすぎなどにも注意が必要です。

ドレッシングはノンオイルのものを。高血圧は糖尿病を悪化させやすいので、調味料は減塩のものなどを選ぶようにするとより効果的です。

20. 普段から意識して体を動かすこと!

糖尿病の治療には、食事療法と併せて運動療法が用いられます。「運動」と言っても、スポーツだけとは限りません。体を意識して積極的に動かすことは、直前の食事による血糖値上昇を抑えるだけでなく、1日の血糖値上昇をトータルで抑えることにつながります。

運動をすることの3大効果

  1. 食後に運動をすると食後高血糖を予防できる
  2. 運動した日は一日血糖値が上がりにくくなる
  3. 運動を習慣化すると血糖値が上がりにくい体になる

ジョギングやウォーキングを習慣化できればベストですが、体を動かすのが苦手なでも、次のような工夫で運動不足を解消し、糖尿病を予防・改善できます。

  • 通勤や買い物などで歩くときは早歩きをする
  • 通勤では週に1度、ひと駅分歩いてみる
  • 買いだめせずこまめに買い物に行く
  • 3階までなら階段を使うようにする
  • 駅などのエスカレーターやエレベーターは使わない
  • テレビを見ているときはストレッチをする

普段運動をしない人がいきなり始めると、体への負担も大きくケガにもつながりますので、始めるならウォーキングのように歩くのがおススメです。

目安は、男性なら一日9,200歩、女性なら8,300歩。これは糖尿病対策を含む生活習慣病を予防するという観点から策定されたもので、一日の平均歩数が男性7,233歩、女性6,437歩なので、男女ともに2,000歩分を意識して歩くようにしてみてください。

21. Q&A

では、最後に糖尿病に関する意外な事実をQ&A形式でまとめておきますので、是非、糖尿病の予防・改善にお役立てください。

Q1) 寝不足だと糖尿病になりやすいの?

眠れない日が続くと健康な人であってもつらいものですが、寝不足でインスリンの働きが低下すれば糖尿病になるリスクは高まりますし、糖尿病患者にとっては病気をさらに悪化させてしまいます。

シカゴ大学の研究チームの調査によれば、健康な若者の睡眠時間を4時間に制限したところ、わずか1週間で高血糖状態になったという結果が出ていますので、睡眠はキチンととるよう心がけましょう。

Q2) 糖尿病は遺伝するの?

体質そのものが遺伝するわけではないものの、毎日一緒に暮らす家族は食生活も同じなので、どうしても糖尿病になりやすい要素を持っているということ。遺伝というより環境的要因が大きくなります。

Q3) 糖尿病になりやすい性格ってあるの?

これは糖尿病だけではありませんが、「病は気から」というように何事もプラス思考で考える人やクヨクヨ悩まない人は糖尿病にもなりにくいのは事実です。

その反面、おおらかすぎるのも考えもので、「このくらいなら大丈夫」と食べ過ぎや甘い物がコントロールできない人も多いので要注意です。

Q4) 糖尿病なのにどうして食べると痩せるの?

糖代謝異常」が原因で、糖尿病が進むと食べた物が栄養として細胞まで届かないため、筋肉に含まれるタンパク質や脂肪をエネルギーに替えようとするため、筋肉や脂肪が落ちて痩せていくからです。

Q5) いびきをかく人は糖尿病になりやすいの?

いびきをかく人は、かかない人の2倍、糖尿病になるリスクがあると言われています。

その理由は、いびきにより酸素が不足することで親権伝達物質の「カテコールアミン」が増加し、インスリンの働きが悪くなってしまうから。また、いびきをかくことで熟睡できず、睡眠時間は確保しているのに寝不足状態になってしまうことも影響しています。

Q6) 運動はたくさんしたほうがいいの?

体を動かすことは大切ですが、糖尿病と診断された場合、運動量によっては高血糖や低血糖を引き起こす可能性もあるため運動量は制限されます。

特に合併症になってしまうと、運動がかえってマイナスになることが多いため運動を控えるケースも多いため、糖尿病と診断されたら担当医に相談してから運動するようにしましょう。

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執筆者 : cocokara
公開日 : 2014年09月10日

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